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 堀木園芸のブログは、筆者が謁見、拝聴、体験した事を先方の許可なく掲載させて頂いております。

 ご抗議や削除を求められる方は、
下記のアドレスまで、ご連絡下さい。



  堀木 園芸

horiki_rozen@ybb.ne.jp



Weblog  ブログ


2007年10月30日(火)
「 その土地に住まう者 」  

 ここ2日ほど忙しかった。

 

忙しかったと言っても知れているが、忙しかった理由は父が「地区会」の旅行に行っていた為である。

 

「なんだ旅行かぁ」と思うこと無かれ。

 

 私達、総領は兎角こういった地元の行事に借り出されることが多い。その割合と言ったら重なれば一週間にほとんど自宅で夕食が食べられなくなることもあるのだ。

 

 自治会、地区会、祭り保存会、公民館委員会、消防団。農業であれば地元の花き研究会、そしてその青年部etc・・と

 

 農家ともなれば、「時間の融通が利く」という理由でとても重宝される。

 

 これを読んでいる農家の方々なら皆「うんうん」と頷くであろうが、「融通が利く」ということは「無理が通る」と言うことで、仕事が減っているわけではない。空けた部分の穴埋めはいずれしなくてはならない。

 

 とまあ、ここまでなら唯の愚痴で終わってしまうが、実はそうではない。

 

 正直、面倒臭いがそんなことは出席している皆が思っている。だが意外とこういうのにも出てみるとなかなか面白い。

 

 同じ地元に住んでいる者同士、年齢、職業は違えども話してみていると馬が合ったり、勉強になったりすることが多い。

 

 最近では町内、何処に呑みに行っても誰かに出くわすのが楽しくなってくるくらいだ。

 

 東京で生活していた時にはありえない程、横にも縦にも繋がりがあり、馬鹿馬鹿しいほど人は何かしらの理由をつけて集まりたがる。

 

 風土を愛し土地に根付くということは、その町に住む人々との繋がりを大事にする。ということなのかもしれない。

 自分が子供の頃、楽しかったり嬉しかったりした経験を今の子供達にも経験させてあげたい。

 

我が家の古いアルバムに父の消防団の帽子をかぶり敬礼をする幼い頃の私の写真がある。

 

その写真を見ると父も祖父も曽祖父もそうやってこの町と人を愛してきたのであろう。と私は思う。そして私もそうでありたい。








2007年10月25日(木)
「  コマーシャル 〜ロマンティックキュリオーサ編〜  」  

 久しぶりに定時で帰宅できたバスの中、真吾は車窓から家路までの風景を眺めていた。

 

信号でバスが停まる。無意識に交差点に立つ女性に目が行く。夕暮れで良くは見えないが、清純そうな若い女性は小柄で白のワンピースがよく似合い、美人そうな感じがした。

 

遠くから冴えない格好をした青年が「取るもの取らずに」といった風体で走ってくる。
「あらら。遅刻だな」

と真吾が思うや否や稲光のようなビンタが青年の頬にいななき落ちた。

 

 動き出すバスの中、真吾は青年への深い同情と共に、女性を見送りながら妻のことを思い浮かべる。「恵美ちゃんそっくりだ。」

 

 真吾には結婚して3年経つ女性がいる。見た目は先ほどの女性とは正反対と言えよう。骨太で大柄、小学生の時に空手をやっていた為だろうか、何かあってもなくても直ぐに手が出る。

 

 そんな彼女とも夕食を一緒に食べるのは久しぶりだ。

 

 いつも降りるバス停の一つ前で下車し、真吾は少しきょろきょろしながら、一直線に自宅とは関係の無い方向に歩みを進める。

 

「ただいまぁ」
これから起こるサプライズを予想し声が上ずる。

 こそこそダイニングに入ると、それを悟った恵美が近寄ってくる。

「遅いじゃない!7時には帰ってくるって言ったのに。」

 

一瞬で空気を読んだのは真吾の体だ。脇の下の汗腺が湿るのを感じる。ちらりと目をやるとまだ715分。

 

さっきとは打って変って小さな声になった真吾。「いや、それは・・」と口に出そうとすると、
「何隠してんのよ!?

恵美の鋭い視線が真吾の体を透過する。

 

起死回生とばかりに花束を恵美に突きつける。

「はいこれっ!」

 

 閃光瞬き真吾の体がよろめく、

「あんた浮気してるんでしょ!? そうでなきゃ何の記念日でもないのに花なんか買ってくるわけないじゃない!!」

「ち、ちがぅ」

言い終わらないうちに、もう2発ほど頂く。

 

「最近、仕事で遅くなってばっかりだったから、寂しい思いをさせたお詫びに買ってきたんだよっ!」

珍しく大きな声を出すと恵美は少し怯む。

 

「いつもごめんね。」

「別に謝ってもらいたくなんか無いわよ。」

振り返りキッチンに戻る恵美。しょんぼりして背広を着替えに行く真吾。

 

「はぁ、慣れないことするもんじゃないなぁ・・」と思いながら再びダイニングに戻ると、とても嬉しそうに花をじっと眺める恵美がいた。

 張り手を受けた頬は熱いが、自分も嬉しい気分になった。

 

 
 ありふれた毎日を特別な一日に

 

 かわいらしい奥さんにはロマンティックキュリーサを 

                                
ロマンチックキュリオーサ  ロマンチックキュリオーサ
                                                    Product by堀木園芸

2007年10月23日(火)
「  変わらないもの  」  



 





 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす

 
 段ボール箱に着目された事はあるだろうか?

 
 エルフバケットが勢いを増す昨今、頑なに乾式横箱を貫き通す我が家。

 
 別にこれといって意地もこだわりもなく、左右入れ違いにバラを入れないと入らない。という味も素っ気もない理由である。

 
 デザインも変える気がない。「HORIKI ROZEN」などと横文字にする気もなく、今の箱を使わなくなる時は段ボール箱を使わなくなるときだろう。

 
 お隣の萬花園・森谷さんの箱は、親父さんのトレードマークの紳士ヒゲを箱にあしらってあり、インパクト大であるが、我が家の箱は「伊那天竜のバラ」としか書いてなく、別に何の面白味のない。

 
 自慢できる事と言えば2つ。

 一つはいいダンボール紙使っています。ちょいと他の箱と比べてもらえば分かるんですが、ちょっとやそっとじゃメゲません。水にも強いです。

 

もう一つは我が家の祖父、祖母の手作りです。祖父母は梨作りをしているのだが、果樹農家は雨の日は仕事ができないので、ひたすら箱を組み立ててくれたり、堀木園芸名物の新聞紙を広げてくれたりと手伝ってくれるのである。

 

祖父は昨日誕生日で87歳になった。最近ではだいぶ足腰にガタが来ているらしいが、祖母と何やらブツブツ言い合いをしながら2人で仲良く仕事をしている。

 

農家は会社ではない。一人ひとりは労働者であり経営者であるが、それ以前に家族だ。

 

家族みんなが元気で仲良くいること以上に健全経営はない。

 

人生はパパメイアンのように美しく儚い。どんな花もいつかは散ってしまうが、少しでも長く今の堀木園芸でありたい。


2007年10月21日(日)
「  待てば海路の日和あり  」  
 「到花日数」という言葉をご存知だろうか?

 生産者や市場の人なら当然ご存知だろうが、字の如く「花に到るまでの日数」ということだ。

 つまり、出荷するためにバラを鋏で切ったその日から、その切り枝から次の花が採花できるまでの期間なのだが、バラは一株から年間に何回も採花することができる。

 

 花き生産者は何でも坪で計算する。採花本数も年間一坪からどのくらい採花できるか、要は

年間出荷総本数÷栽培面積()=坪採花本数

となるわけだが、我が家ではこの坪採花本数が300本を下回る品種が非常に多い。

 

 300という数字はなかなか分かり辛いものだろうが、どんな数字かというと種苗会社のカタログに採花本数300以下のバラは掲載されていない。

 

 言わば「落ちこぼれ」だ。

 

その最たるものが、我が家ではジプシーキュリオーサのスプレーやオリエンタルキュリオーサ、プリンセスオブウェールズで、つまり到花日数が著しく長いものたちだ。

 

 「落ちこぼれ」と言っても営利切花的にというだけで、とてもいいバラたちだと私は思っている。

 

 ジプキュリやウェールズたちはスプレーだから仕方ないが(仕方が無いといっても長すぎる!)、オリキュリの冬場の到花日数80日間は恐れ入る。10月の末に切れたと思ったら。次は年明けって!!

 

 でも、出張で何日か空けて家に帰ってくると、「待っていたわよ!」と言わんばかりに脇芽が伸びていたり、急成長を遂げていたり。

 

「コノヤロー!」

 

 普段、時間にルーズなくせに、たまにこっちが遅刻すると鬼の首でも獲ったかの様に文句をつける人は、人間にもいる。

 

 慌てない。慌てない。ひと休み。ひと休み。




ジプシーキュリオーサ
 伝家の宝刀。ジプキュリスプレー90cm。20本。



ジプシーキュリオーサ
  「お待たせっ」
2007年10月20日(土)
  コマーシャル  〜イリオス!編〜  」  

「ちょっと!聞いてるの?!」

「うざってぇんだよ!」 

バタンッと勢い良く締められたドアから健一は出て行った。初夏だというのに今日は曇り空で少し肌寒い。高校に上がってからというもの遅れてきた反抗期だろうか、健一は母がうっとうしくて仕方が無い。

 

 学校の授業など健一にとっては修行のようなものだ。一つの部屋に閉じ込められ黒板の上にある分針が進むのをひたすら待つ。

 

 やっと午前中の「修行」が終わり、友達と窓辺で弁当を食べる。学校という檻の中で楽しい事といえば友達との談笑ぐらいだ。

 

 ふと健一が窓の外を眺めると見慣れた車が校門の近くに止まっている。「まさかっ!」と思って車の周辺を見回すとコソコソ校舎から出てくる女性がいる。

 

母だ。健一は友達に悟られないように視線を逸らす。腹の中は煮えくり返っている「何してんだ!あの女っ!!」

 

「おい。健一早く行こうぜ!」

急に呼ばれて焦って我に返る。状況は掴めてないが友達の手元を見て思わず。

「ヤバイっ」と言葉が漏れる。

 

午後一の授業は今日から始まるプールの授業だ。体育の教師は学校一ウザかった。

テンションが下がる中、携帯にメールが入る。

 

「寒くてもしっかり泳げ! 水着、下駄箱。 母より」

 

「助かった!」と息を吐くと同時にさっきの怒りの反面、急に申し訳ないように思えてきた。

 

 家の近くにある花屋。普段から知ってはいるが健一は入ったことなど無い。なかなか思春期の男子が入れる雰囲気ではない。とは言え入ってみると案の定、若い女性店員が笑顔で寄ってくる。

 

 急いで買いたい花を選ぶ。

「これ3本下さい。」

恥ずかしがる高校生がかわいいらしく店員は「くすっ」と笑いながら

「じゃあ、この咲いてるのはオマケね。」

と花を渡してくれた。

 

 恥ずかしさとちょっとした嬉しさで顔がにやけるのを我慢しながら、上り坂を立ちこぎで一気に上る。

 

「帰ったの? おかえりー」

返事が無い。またシカトかと溜め息をこぼしながら食卓に目をやると。

 

「助かった。弁当もうまかった。」

 

と殴り書きのメモとバラが。

 

「かっこいいじゃん!」

と呟きながらリビングで牛乳を飲みテレビを見ている健一に目をやる母。

 

 ありふれた毎日を特別な一日に

 

 太陽みたいなお母さんにはイリオス!を

 


    イリオス!
             
                                     Product by
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2007年10月15日(月)
「 朋友 」  

カキツバタ
愛知県花 カキツバタ

菜の花
千葉県花 菜の花

バラ
茨城県花 バラ

リンドウ
長野県花 リンドウ

時は少しさかのぼり12日。IFEX会場を後に私は渋谷へ向かう。

 

 今夜はプチ同窓会だ。市場で研修をしていた時に仲良くしていた同僚と会食。

 

同僚と言っても皆先輩ばかりだが、一人は今、大飛躍を遂げる花きネット会社のやり手営業マン。一人は由緒正しき地方卸の期待の三代目。一人は多くのデザイナーを抱える中卸の切れ者。

 

 「驕りだ」と言われるかもしれないが、いずれは花き業界の要石になるだろうと私は信じている。

 

 彼らと飲む酒は甘い。同世代で同じ会社で働いていた時も馬が合ったというのもあるけれど、皆、花が好きだ。

 

 「あの産地は良い。」「どこの誰それが作る花は最高だ。」「あの市場の彼は切れ者だ。」「今の流通方式は良くない。」「あいつは馬鹿だ。」だの何だのと話は尽きない。

 

 同じ業界でも私は生産、一人は市場、一人は仲卸、一人はネットオークションと各々立場が異なるから一つの物事に色々な角度で意見を交わす、歯に衣着せぬ言い回しだが、むしろ心地よい。

 

 彼らと話していると普段悩んでいる瑣末な事を忘れ、「これからも頑張ろう」という気持ちがふつふつと湧いてくる。

 

 私が努力していいバラを作ることが、彼らの利益になるように。私が学んだ技術が彼らの仕事の糧となるように邁進したい。

 

 昔、父が小学生の時、教科書を忘れた同級生に自らの教科書を貸し、自分は忘れたと言って教師に怒られたことがあるらしい。(もしかしたら少し足りなかったのかも知れないが・・・)

 

 父は今でも多くの友人・恩人に恵まれている。

 

私も多くの友人や知人、尊敬できる若手生産者、何でも教えてくれる父世代のバラ生産者、ご鞭撻して頂ける市場、お花屋さんに恵まれている。

 

 こんな殊勝なことばかり言っていたら、明日は死ぬかもしれないので、やはりいつもの横柄で我儘な自分でいようと思う。生き抜いてナンボの世の中だ!!

 

 最後になりましたが、求人募集です。若手花屋さんいませんか?花屋さんの意見が不足しています。

禁煙・肉好き2535歳の方、ご連絡下さい。



2007年10月13日(土)
「 いやぁ、フラッと行ったけど、エラく人が多くて、エキストラなんじゃないの?って思ったよ。 」  

IFEX‘07に行ってきました。会場は人の海。そして活気溢れる各社ブース。

 

イベントでは「23日に分けてご来場下さい。」とアナウンス流れていたが、私は足早に23時間で会場を縦横無尽に見尽くした。話を聞いたり、名刺交換したり。

 

IFEXはもう3回ほど来ている。今年は農協や経済連のブースも目を見張るものがあった。沖縄、大分、愛知など輸入商社も尻込みをする活気で人が集まり、産地のPR活動をしていた。

 

既に生産者は畑だけにいてはいけない時代になってしまった。

 

畑にいるべき時間を割き、出荷先に顔を出し、マーケティングの真似事をし、商社も顔負けの営業を行う。

 

私も極力都内でのイベント事、お花屋さんとの交流の場、市場との会議があれば顔を出そうと仕事も疎かに東京へ足を運ぶ。

 

しかし、帰路の車の中でいつも思う。「これは私がすべき仕事なのだろうか?」と。

 

私にはどうしても生産者が自らマーケティングをし、消費者にアピールするのは百姓としての仕事を逸脱しているような気がしてならない。

 

だが純粋に「作る」という行為だけでは生産者は最早成り立たなくなってきているのだろう。

 

帰り道、新宿駅を出て歩いていると、ある意味「東京名物ティッシュくばり」がいて普段は受け取らないが、ティッシュではないことに気がつき思わず受け取ってみた。

 

掌には白黒の牛柄のハンカチと

「きいてください!いま、日本の牧場がピンチなんです!!  日本の酪農家一同」

と、書かれていた。

 

 目頭が熱くなった。

 

 日本には農家はいらないのだろうか?毎日、朝早くから夜遅くまで休みも無く仕事をし、生産物や家畜を愛している人たちが何の心配も無く「作る」という行為に純粋に打ち込める日々はもう来ないのだろうか?

 

 ちょいと感傷的になりながら今夜はビールを止めて、牛乳を飲むことにする。なんか牛乳がしょっぱいや・・・。







ifex2007
















2007年10月8日(月)
「 赤石や 洛陽映す いわし雲 」  










あなたは「監視されているのでは?」と思ったことはありませんか?

 

 噂話をしていると話題の当人が現れたり、昼食でカレーを食べたのに夕食にまたカレーだったり。

 

 松川もここ数日で随分寒くなってきました。朝、日の出も遅くなり朝が苦手な私にとっては少しずつ起床時間が延びて大変ありがたい。

 

 朝の花切りで温室に入り、温度計を見ると10℃を下回っていることもしばしば。切ったバラを持つ手も凍える。

 

日中はそれでも26℃くらいになり、温室の中はTシャツで充分。それでも出荷量は「ガクッ」と減り、市場や花屋さんから「やる気を見せろ」とお叱り頂く事もあり、いやいやながら暖房を焚くことにした。

 

秋も深まりいよいよ歳末、冬場の準備を迎える時期となった。

 

まず取り組んだのは、父がバラ作りの修行を終え、初めて自分のバラを育てだしたビニール温室の屋根の張替え。(トップページの下の写真の温室)

 

40年物の細い鉄骨に木造の梁。「ミシッ。ミシシッ。」と歩くたびに温室が声を漏らす。たまに木が腐っていて「バキッ!」と折れることも・・・。

 

 「ああ、ここで落ちたらパパメイアンの上かぁ。棘がいたいなぁ」と思いながら父と2人で淡々と作業をこなす。

 

 でも、こういう時に限って電話が・・・屋根の上だけあってよく電波を拾う。一日で十数回も着信する。(見られてるっ!)

 

静岡の後藤バラ園のオヤジさんは「風が強ぇなぁ!落っこちんなよ()!!」と電話越しに。

 

 「今、落ちたらあなたのせいです。」と思いながら電話を切って釘を打つ。

 

 何の被害も無く、無事屋根張り終了。これで明日はホームランだ!!





2007年10月1日(月)
Lang een dag van het rozen kwijker 〜ばら屋の長い一日〜(後編)」  

 飽きた・・・。2時間も検討会に耐えられない。

 世田谷花きの社員にコーヒーを買ってくれるようせがむ。
以前、勤めていた世田谷花きは勝手知ったる我が家のようで、事務所も居心地がいい。やめて
5年にもなるが、みんなフレンドリーだ。
 まさに社訓の「誠意と信頼」に溢れている。


 さて、ここからが本日のメインイベント「小さな勉強会」。

 

 「小さな勉強会」とは世田谷花きの買参人(買いに来ているお花屋さん)の組合だ。皆さん大変勉強熱心で、毎月のように開催しては毎回100人近くの参加者がいる。

 

今回も「世田谷花き買参人事業協同組合」VS「世田谷花きバラ研究会」ということで、お互いの

普段思っている疑問質問を侃々諤々話すと思ったら、ちょいと思わぬ方向へ・・・

 

パネルディスカッション方式で、パネラーは小売店も営むデザイナーお花屋さん2人、市場のバラ担当1人、バラ屋1人、種苗会社各社4名。この4業種が合間見えることはなかなかなく、面白い。でも(比率が悪いな・・)と思っていたら案の定。

 

場は種苗会社の独壇場。時間もないのにしゃべるしゃべる!興味深いことも話しているが、私にしてみれば彼らの苦労話だ。
 さりとてお花屋さんには普段聞けない苦労話。私も黙って聞いていた。


 飽きた・・・。

 

流石、営業職。流暢に良くしゃべる。しかし、私が聞きたい事はない。
 常々、種苗会社に対して思っているのは「何故、他
3業種にもっと意見を聞かないのか?」
 作りでバラ屋を超えられる訳も無く、需要供給バランス、マーケットの把握は市場に敵う訳もなく、消費者の声、花の終着点を知る花屋に需要を聞くわけもなく、生産、流通、消費をさも調べつくしたような物言いは、ちょいとビビる。

 

彼らが消費から一番多い存在であるということは間違いない。
次いで我々が遠い。品種選定など独断でできるわけがない。
 メタボリック軍団に明日の流行がわかるのだろうか?
 予備軍の私には何も分からない。

 
 「あのバラ良かったのに何でやめたの?」などと生産者に言わないでもらいたい。生産者は採算が取れないから辞めたのだ。
花屋が金を出さないから辞めざる得ないのだ。と誰かが言った。

 

正論だ。しかし、お金を出す価値がなかったのだ。
お悔やみの一言があっただけでもいいとしよう。

 

いつの日か来るのだろうか、消費者の声と自らの声をお花屋さんが簡単に生産者と種苗会社に伝え、生産者と種苗を生かす流通バランスを市場が形成する。
生産者は純粋に生産に励み、弛まずいい花を作り続け、種苗は永遠に名を刻むバラを産み、探す。

 

会自体は大変有意義なものとなった、また是非参加したい、今度は私もブログで愚痴るのではなく発言しよう。
でも夜
11時くらいになると目がしぱしぱする。クマもでる。
人前に立てるだろうか?
 きっと次回はお昼寝を充分に取り、メダボリックも何とかしよう!!






















2007年9月30日(日)
Lang een dag van het rozen kwijker 〜ばら屋の長い一日〜(中編)」



















会議室に入るとすでに会議室はギャル男も退くガングロオヤジ達で盛り上がっていた。(イケメンだ!)

 

ちょっと聞いているとテーマは今年爆発的に増えている「ボトリチス」と「ハダニ」等の被害についての防除技術の話し合いだった。

 

「ボトリチス」は通用「ボト」と呼ばれ、花屋さんが「花しみ」と呼ぶ8割がこの病気であろう。カビの一種で湿気を好み梅雨時、長雨で弱い品種は花にニキビ状の斑点や腐りが入り、出荷できなくなる。

 

「ハダニ」も相当厄介で何をしても完全に殺すことはできず、繁殖力も旺盛で最近では農薬に対する抵抗もできていて、バラ農家に限らず日本中の農家が苦しんでいる。

 

 以前、減農薬、有機農薬の話を少ししたが、上記の2つにも漢方や毒薬以外の農薬もある。しかし、状態が悪ければ悪いほど、やはり科学農薬に頼ってしまう。
 ぜん息の患者に玉子酒では焼け石に水のように。

 

 原油の高騰による暖房費の増加、運賃の値上がり、段ボール箱の値上げ、止まらない病気、死なない害虫・・・暗い話は尽きない。

 

 どっこいガングロオヤジ達は強い!黒い顔に無数のシワをよせて笑っている。腹の中では不安や畏怖を感じていても、日に焼かれた琥珀色の黒目をギラギラさせて明日への活路を見つけようとしている。

 真夏の灼熱の温室の中で病気にも害虫にも負けず何十年も耐えてきたのは、バラ以上にこのオヤジ達なのだ。

 サムライだ!百姓だが、この人たちこそ侍なのだ。

 

 私のようなバラ屋2代目は全国に結構いる。
先代を超えるのは至極難しいことではあるけれど、彼らを超えなければ明日の日本に国産バラなど無くなってしまう。

 頑張ろう!頑張れ私!

 

・・・と熱くなっているうちに会の進行は新品種検討会へ。
 
 100種類以上の新品種、未流通品種が並べられ、11つ種苗会社の方が説明する。説明する種苗会社のオヤジに、聞く農家のオヤジ、相談に乗る市場のオヤジ・・・・って


 花の購入者層F1、F2、F3層が会場にいない。

 これでいいのかッ!!?

 

 そんな私もメタボ気味・・・以下後編へ。



2007年9月29日(土)
Lang een dag van het rozen kwijker 〜ばら屋の長い一日〜(前編)

 928日午前525分起床。5分で身支度を整え、花切に。今日は長い一日になりそうだ。

 

今日は午後3時から世田谷花き市場のバラ研究会(バラ生産者の集まり)の会合がある。

 会の内容は農薬や温室設備に関する「技術交流会」、種苗会社を招いての「新品種検討会」、そして、目玉の世田谷花き買参人事業協同組合との「小さな勉強会」である。

 

7時まで花切りをし、朝食、メールをチェックしたら午前中にできるだけの仕事をして12時に家をでる。

 昼食は運転しながらサンドイッチ、鼻歌混じりに中央道を
2時間。

 2
時半には市場についたが、まだ時間があったので、今回会議よりも大事な場所へ

 

行き先は以前、勤めていた南青山の「ル・ベスベ」の先輩家族のお宅へ。

 ご主人は金曜と言うこともあって仕事中だが、最早、先輩夫婦はどうでもいい。

 私が会いたいのはそこの長男坊の「ハル」だ。

 

「ハル」が生まれたのが丁度私が「ル・ベスベ」で働いていた時で、ご主人について産後1週間くらいでお見舞いに行った。

 長野に帰ってきてからも成長をブログで見ているので可愛くて仕方がない。

 まるで孫(?)のようだ。最近、そこに待望の女子も生まれてお祝いがてら顔を見に行った。美人さんだった。

 見ず知らずのデカイおじさんにニコニコ笑いかけてくれた。将来は「堀木のおじ様」と呼ばせよう。

 

「ハル」も大きくなっていて、いっぱいしゃべるし元気に動き回っていた。いたずらをして「してやったり」顔のスマイルがパパそっくりだ。

 パパも
30代中盤にして悪大将感の抜けない尊敬すべき男性だ。

 

・・もう会議なんかどうでもいい。

 

 そうもいかないので40分ばっかり送れてヒーロー的登場。緩んだ目元、口元を引き締めて男は戦場へ。


 以下、中編へ続く。










2007年9月27日(木)
「 photo gallery 」

フォトギャラリーを作成しました。

日常の些細な出来事や松川の風景などUPしています。

宜しければ覘いて見て下さい。


→画像をクリックすると「photo gallery」が見れます。




2007年9月25日(火)
「 洋ナシ 」






我が家の隠れアイテム。洋梨です。

ご機嫌で梨畑に向かう愛犬「リヴ」。
 
種類はバードという品種。
味もおいしいですが、アレンジにもってこいのいびつさ加減。 
香りも良いみたい。
かなり大きいものもありますが。
まだ食べれません。

今は「南水」という品種の梨を隣で
祖父母が収穫していました。



フルーツ王国松川の収穫はまだまだ続きます。


2007年9月16日(日)
「 ニューフェイス・・・?? 」


発色の非常に良いオレンジ色のこんなバラはいかがでしょう?

なかなか見ない色でしょ?

数本でも存在感があります
大輪で花保ちもいいです
最近流行の淡い感じと違って
ぱきっとした色です。


お花屋さん・デザイナーさん
お花関係者さんご意見下さいませ。
オレンジジュース


2007年9月14日(金)
「好奇心!」

ジプシーキュリオーサ スプレー
ジプシーキュリオーサ

ジプシーキュリオーサ アッシュ
ジプシーキュリオーサ アッシュ

ジプシーキュリオーサ グリーン
ジプシーキュリオーサ グリーン

オリエンタルキュリオーサ
オリエンタルキュリオーサ

ロマンチックキュリオーサ
ロマンチックキュリオーサ

 ・ジプシーキュリオーサ
 ・オリエンタルキュリオーサ
 ・ロマンチックキュリオーサ

    
 「Curiosa」
 キュリオーサと付くバラが我が家には3種類
あります。

「好奇心のある」とか「好奇心をそそる」とかまたは「奇妙な・珍しい」などという意味があるらしい。

 ジプシーキュリオーサはスタンダードとスプレー咲き。ジプシーキュリオーサのスプレーを木のままで咲かせておくと次第に色が抜けピンクから白みがっかてくる(アッシュ)。さらにそれを放置すると美しくすんだ緑色になる(グリーン)
 花持ちが非常によく個性的で存在感のあるバラである。

 オリエンタルキュリオーサはベージュがかったサーモンピンクのアースカラー。大輪で花持ちがよい。

 ロマンチックキュリオーサはロゼット咲きの
クリーム色。甘い香りがあります。


 確かに、ジプシーキュリオーサの色の変化はいい意味「奇妙?で珍しい」
 オリキュリの色もロマキュリの香りも「好奇心そそる」そんなバラ達だと思います。

 ちなみにブルーキュリオーサというバラもありますが、こちらも綺麗らしい。
紫色の大人っぽいバラです。

 またまたちなみに・・

長女:オリエンタルキュリオーサ
次女:ブルーキュリオーサ
三女:ロマンチックキュリオーサ
四女:ジプシーキュリオーサ

の4姉妹です。


2007年9月3日(月)
「やる気!元気!!有機!!!」

 9月に入りバラの需要も徐々に増えだしてきた。9月は8月にブライダルが少なかったせいか、いきなりブライダル需要が増える。

 白系、淡い系のバラが多い我が家としてはブライダル需要が増えるのは大変ありがたい。


と同時に業界側から見れば毎週末ある結婚式だが、結婚される当人の新郎・新婦にとっては一生に一度の晴れの舞台であるので、いいバラを供給しなくてはと身が引き締まる思いだ。

 


 先日、出荷が終わった後、遅めの昼食を取ろうと近くにある「オーガニックカフェ」と名乗るところに行ってみた。

 

まぁ、わりとシンプルな店内と料理。価格は南信の喫茶店としては気持ち高め。でも有機素材にこだわって食材を集めているなら妥当とも思える。こだわっている人間は好きである。

しかしながら、パスタに入っていたベーコンは美味しかったが、それ以外の味の違いはあまり分からない。私の舌が肥えてないのもあるのだろう。

 

食材自体を生の状態で味わってみれば、大きく違いはあるのだろうが、味付け、加工されているとなかなかその違いは私のような小市民にはわからない。

 


 バラもそうなのだろうか? 

 今は日本では低農薬や有機栽培をしているところもあるし、オランダなどでは科学農薬を使わない生産者もいるという。

 でもバラは食べるわけではない。それを消費者に価値のあるものとして認めてもらうにはどうすればよいのだろう?

 

有機なのか、化学肥料なのか、無農薬なのか、そうでないのか、土耕なのか、水耕なのか・・・。

 

 生産者の押し付けではきっと商品は売れないだろう、しかし消費者は生産者の作ったものの中から選ばされているのが現状ではないだろうか・・・。五里霧中だ。

 

 もっと消費者と話がしたいと私は思う。・・・でも今日はとりあえず草取りでもしよう。