常々、不思議に思っている事がある。
「何故?」と5W1Hが頭の中で、めぐり巡る。
「なまこ」「ごぼう」「ふぐの卵巣のぬか漬け」等々、一体いつ誰がどういった理由で食べ始めたのだろう?
「なまこ」は明らかに食欲を低下させる外見であるし、「ごぼう」は見るからに根っこである。
猛毒のふぐの卵巣を如何なる理由で、ぬか漬けにしたのかも、不思議でしようがない。
世の中の「珍味」と呼ばれるものを最初に口にした人間はどういう心境だったのだろうか。
この所、南信州では其処此処で「カッコウ」が鳴き、梅雨もまだなのに初夏の陽気が漂う。
自宅の作業場で出荷の準備をしていると、温室から父が戻ってきて、我が家の土蔵の中へ入って探し物をしている。
しばらくして、煮干を手にウロウロしているので、何事かと様子を伺っていると、どうやら温室にまた野ネズミが出たらしい。
バラの新芽を食べられていると、ネズミ捕りを仕掛ける準備をしている。
ニュース番組でも野生の鹿やタヌキ、狐、猿の食害が報道されており、しばしば問題となっている。
父曰く、「今年はどんぐりが不作だからしょうがない。」という。
どうやら不況なのは人間界だけでなく、自然界も同様のようだ。
そういえば、最近良く、狐やらタヌキが道端にいて、車を恐れて逃げ回る姿を良く見る。
夕方、花切りに温室に入ると早くも1匹捕まっている。
しかし、まだいる様で、灰色のピンポン玉くらいの生物が、稀に残像だけ見せる。
バラの新芽だけならばまだしも、潅水チューブをかじってしまうから、癖が悪い。
父は「どんぐり集めてこねぇと・・」と漏らす。
ネズミも珍味で腹いっぱいより、どんぐりを食べたいであろう。
チューブを食うチャレンジ精神には頭が下がるが、どう見ても無謀である。
きっと世の中の「珍味」生み出した先人も「飢え」にやまれず、それを食べたのであろう。
酒のつまみに「珍味」を喜んで食べる私にとって、先人達の功績は偉大であるが、挑戦に失敗して病気になったり、死んだ先人を思うと、申し訳ないが笑ってしまう。
|